馬油から　梅干しまで　　　　　　　　　　　　　　

ジワァ〜と腰が痛くなって、やがて本格的なギックリ腰になった。床から起き上がる時、椅子から立ち上がる時が特に辛い。歩く姿はヨボヨボ爺さん、ハァヨイヨイの波平翁だ。今日、昼飯を食べ終わって空の茶碗を自分で運ぼうとしたら、また腰がグキッと砕けた。茶碗と箸が重たかった。

私は以前ソケイヘルニア（脱腸）の手術を受けたことがある。原因はわかっている。荒波の上をボートで走り回りすぎたためだ。だのに手術直後ボートに乗ってまた脱腸になった。で、ニ度手術した。思うに、ギックリもやはりボート釣りのせいではなかろうか。海には当然波がある。ボートは四六時中フッカンフッカン揺れるのである。寸刻も腰の休む間がないわけだ。冬２月の厳寒期に身体を堅くして終日腰を揺らしつづけたら、ギックリにもなろういうものだ。

さて、この治療についてだが、腰に馬油（ホースオイル）を塗ると良いようである。タップリ・ベタベタ腰に擦り込む。私は、当初不浄な馬のアブラなんぞつけるものかと拒否していたが、ついに腰の痛さにはかなわなかった。観念してつけたら良く効いたのである。薬局に売っていて正真正銘の漢方薬らしい。もし、腰痛でお悩みの方があれば試されてはどうだろう。馬のアブラだ、その気になれば結構馬力が出るように思われる。

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過日ボートショー見学の際、各メーカー展示コナーでサインしまくったのが効きはじめた。ボート業者から新艇発表試乗会の案内が次々届く。返事をせずにいると、追いかけるように電話があり試乗会参加希望の有無を問われる。私は、「サラリーマンでしてね、お誘いいただいても、とてもボートを買い替える余裕はありませんので…」と、ご辞退申し上げる。「ああそうですか」とあっさり引き下がる業者がある。逆にしつこく喰い下がる業者がある。あっさり引き下がられると、そう簡単にあきらめずともよいではないかと思うし、しつこく喰い下がられると、重ねて自分の貧乏を自覚させられるようで面白くない。

私は自宅トイレの壁にボートショーでもらった豪華艇の写真を貼っている。洋式便座の足元に小さい台があって、ここにパンフレットを積み上げている。一年間これらを繰り返し繰り返し眺めながらトイレする。朝、パンフレットに見惚れてトイレに座っていると、　「パパ！いつまでパンフレット見てるの！また会社に遅れるよ！」

と女房が叫ぶ。この合図で出勤する。

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どうも私は毎年梅の花が咲くの頃になると風邪を引くようである。昨年も、一昨年も、風邪のことをグヂグヂ書いた記憶がある。で、やはり今年も風邪をひいた。今年は特に念入りで上げ下げつきだ。トイレを済ませた途端に又トイレに行きたくなる。そのまま便座に座っていようか。

申年（さるどし）の梅干（縁起物）があったので、薬だと思って我慢して毎食ごとに食べている。私は梅干が大嫌いなのに。本来なら、釣り師が梅干の助けを借りるなどもっての他である（海の神様も梅干がお嫌いだそうだから）。その梅干のせいか風邪と腹下しは治ったが、釣り師の意地の方はいまだ意気消沈気味だ。昨晩体重計に乗ったら四キロ痩せていた。道理でズボン前のチャックの滑りがなめらかになった。